2018年、新たなプロジェクトが始動しました。昨年秋、NHKで放送された特番で、名古屋大学をはじめとする国際合同チームが、「大ピラミッドの中に未知の巨大空間を発見した」ということで大きなニュースとなりました。この結果については総合科学誌「ネイチャー」に論文が掲載されています。
しかし、テレビ番組の公開からまもなく、エジプト政府がこの結果に異議を唱えたというニュースが報道され、論争が起こりました。我々、東日本国際大学エジプト考古学研究所でもそのニュースが大きな話題となっていました。そんな中、元エジプト考古庁長官ザヒ・ハワス博士から直接、本学学長吉村作治先生の元に電話があり、「ピラミッドの中に空間があるという結果について、日本の技術を持って再検証してほしい」という要請がありました。同様の電話が、当時の考古大臣からもありました。
これを受けて、この「大ピラミッド探査プロジェクト」が始動することになったのです。このプロジェクトについての詳細はこちらをご覧ください。
世界遺産の一部であるギザのクフ王のピラミッド西側に位置する広大な墓地。
ここにまだ重要な遺構が地下に眠っている可能性があり、将来その調査を行うべく、地上の構造物の3次元的な記録、及び地下空間の探査を進めています。
クフ王のピラミッドの南側には、2隻の世界最古の大型木造船が巨大な竪坑に埋蔵されていました。東側の竪坑からはバラバラの部材が発掘され、復原された船が現在同じ場所に展示されています。
西側のもう1隻は今まさに発掘が行われています。発見された部材は保存修復処理が施され、今後の復原に向けた研究が進められています。
アブ・シールの南端に、伏せたライオンの形をした小高い丘陵があります。
この丘陵はエジプトの王朝開始から終焉にかけて、一種の聖地として様々な宗教活動が行われてきました。
世界最古級の石造の建造物である石積み遺構、ライオン女神に対する祭祀活動跡、ラムセス2世の王子カエムワセトの石造建造物、ラムセス2世の孫娘イシスネフェルト王女のトゥーム・チャペルなど重要な遺構が数多く発見されています。
人工衛星による先進のリモートセンシング技術を利用して発見された広大な墓地遺跡。
イパイという人物の大型のトゥーム・チャペルを始めとして、新王国時代の墓が数多く発見され、当時のエジプト北部の様子を語る貴重な資料が蓄積されています。
一方、2005年、2007年にはセヌウ、セベクハト、セネトイトエスなどの中王国時代の埋葬が全くの手付かずの状態で発見されました。完全な状態で発見された墓は、埋葬された当時の状態がそのままパッキングされており、葬儀の活動にも迫ることができます。
アメンヘテプ3世王墓は1799年にナポレオンの遠征隊が入って以降、多くの著名なエジプト学者によって調査されてきました。日本隊は王墓に残る土砂を精査し、副葬品の一部や発見することができました。同時に正確な測量や壁画の記録が行われました。
2001年以降、日本の外務省、ユネスコの援助を受けながら、日本、イタリア、エジプトの修復師チームによって壁画の保存修復が実施されました。